日本ワイン・塩尻特集 vol.1 日本を代表する銘醸地
塩尻を知るワイン10本
(5時間)

塩尻のクオリティと多様性を示すワインを有力ワイナリーから10本セレクトした。代表品種メルローのワイン。塩尻の伝統品種で造られたワイン。さらに、近年の新しいトライアルによって生み出されたワイン。これらをひと通り飲んでいけば、いまの塩尻ワインの水準と幅が理解できるはずだ。
塩尻のワインとは?
そして、ワインだが、当初はコンコードやマスカットベリーAなどの日本の固有品種に取り組み、甘味ワインの生産から徐々に辛口のワインへと転換した。1951年にはメルローの栽培がスタート、国際品種も試されるようになった。メルローは当初、寒すぎる気候に苦しんだが、温暖化の影響で質の高いブドウが穫れるようになり、いまや山梨を超える産地との評価もある。現在はメルローを規定種目として、各ワイナリーとも多品種体制を志向している。
塩尻ワインをワイナリーで捉えると、五一、アルプス、井筒、信濃の老舗4社は安定した品質の塩尻の代表銘柄。サントリー、メルシャンの品質は言わずもがな。それに、メルシャンの醸造長から転出したドメーヌ・コーセイや、入手困難で伝説となっている城戸ワインなどの注目のワイナリーがある。さらに、塩尻ワイン大学出身者などの小規模ワイナリーが続々参入中という図式だ。
では、その塩尻ワイン、どこで買えばいいのか? リアル店舗であれば、まずは塩尻市広丘の「リカーハウスながはら」、あとは塩尻駅前の土産物店になるだろうか。通販であれば長野ワインに強い「ワインショップfun」の品揃えがダントツだ。もちろん、各ワイナリーの通販サイトでも購入できる。あと、塩尻初心者には、塩尻市のふるさと納税もおすすめである。それなりに有名どころがラインナップされている。それでは、塩尻のクオリティと多様性を示すワインを紹介していこう。今回は、代表的なワインをセレクトしたが、回をあらためて、新興のワイナリーの取り組みについても紹介せさていただく予定だ。
シャトー・メルシャン/桔梗ヶ原メルロー
塩尻のフラッグシップ

参考価格 ¥14,000(2018)
Domaine KOSEI/片丘メルロー アメリカンオーク
塩尻メルローの新たなスター

参考価格 ¥4,730(2022)
サントリ-/フロムフア-ム 塩尻 メルロ ロゼ
塩尻メルローの新たな可能性

参考価格 ¥3,300(2023)
信濃ワイン/スーパーデラックス 白 竜眼
磨き上げた国産品種のワイン造り
信濃ワインは1916年創業、桔梗ヶ原の一画にあり、古びた樽が並んだ貯蔵庫が見学できるクラシックなワイナリーである。このワインは、1990年代を通じて、信濃ワインが国際コンクールに出品してきた、かつての代表ワイン。当時、リュブリアーナ国際ワインコンクールで銅賞、優秀賞を繰り返し受賞している。

参考価格 ¥2,790(2023)
井筒ワイン/マスカット・ベリーA
塩尻ワインのコアな実力
その井筒ワインには、もうひとつ、あえて取り上げるべきワインがある。それがこのマスカット・ベリーAだ。日本の固有品種であり、日本ワインの白の代表が甲州なら、赤の代表がマスカット・ベリーAである。井筒のマスカット・ベリーAは、その最上位に位置付けられるワインだ。日本ワインコンクールの「国内改良等品種」赤クラスの金賞の常連であり、さらにコストパフォーマンス賞の常連である。このワインこそ、和食に合うとされる柔らかい日本ワインの典型と言えるのではないか。さらに、この低廉な価格は、日本の日常の食卓にワインを根付かせようとしてきた老舗ワイナリーの歴史を物語っている。

参考価格 ¥1,720(2024)
アルプスワイン/ミュゼドゥヴァン ダイナスティ 塩尻メルロー&カベルネソーヴィニョン
本格ボルドータイプへのチャレンジ

参考価格 ¥4,499(2024)
林農園/エステートゴイチ シラー
老舗の新たなアプローチ
このワインは、自社農場と契約栽培のシラーを使用し、フレンチオークの樽で熟成させたもの。2023年の日本ワインコンクールで金賞を受賞している。塩尻でもメルロー以外の品種にチャレンジする流れはあるが、林農園は昨今の温暖化を見据えてシラーに取り組んできた。シラーは南仏やスペイン、南半球で栽培される品種である。急速に進む気温上昇の中で、塩尻での新たな品種栽培の可能性を示したと言っていいだろう。ローヌのシラーは概ね濃いがこれは軽い仕上がり。塩尻の新たなトレンドになるかもしれない。

参考価格 ¥3,410(2024)
Kidoワイナリー/オータムカラーズ ルージュ
伝説の塩尻ワイン
ワイン造りのコンセプトは「造りたいものを造る」とし、桔梗ヶ原のブドウで感じるがままにワインを造る。それは、家族だけで管理できる少量生産であり、除草剤を使わない草生栽培であるという。それを理解してくれる消費者に届けるだけなので、売上も求めず、プロモーションもしない。それが抽選という販売方法に繋がっている。そのため、ワインは市場にほとんど流れず、抽選にもなかなか当たらないので、幻のワインとなっている。
城戸ワインは「オータムカラーズ」と「プライベートリザーブ」シリーズが中心。今回の「オータムカラーズ ルージュ2024」はメルロー 52%、マスカットベーリーA 36%、ピノノワール7%、カベルネソーヴィニヨン 2%、カベルネフラン2%、プティ・ヴェルド1%のスタンダードクラスのワイン。私の感触としては、塩尻の老舗ワイナリーと共通する柔らかいワインの印象だ。「プライベートリザーブ」は収穫量を抑えた凝縮度の高いブドウのみを使用したシリーズ。

参考価格 ¥3,300(2025)
サンサンワイナリー/サンサンエステート柿沢シャルドネ ネイキッド
シャルドネも塩尻の時代
このワインは、柿沢のシャルドネを使用。ネイキッド(ありのまま)という言葉の通り、ありのままのシャルドネをワインにした。特殊な製法は行わず、除梗破砕後、スキンコンタクトを実施。フリーラン果汁のみをタンクへ移動しデブルバージュ後、ステンレスタンクにて発酵・熟成、もちろん、補糖、補酸なし。マロラクティク発酵を⾏わず、濾過して瓶詰め。酸が効き、スッキリ飲みやすいワインに仕上がっている。日本ワインコンクール2025で金賞を受賞

参考価格 ¥2,970(2025)
KIRINOKA VINEYARDS&WINERY/ドメーヌ・キリノカ ピノ・ノワール キュヴェ 善知鳥
本物のピノ・ノワールを目指す
沼田さんは、ワイン業界の有名人である。ホテルやワイン輸入会社を経て、ニュージーランドでワイン造りを学び、帰国後はワインスクール講師やコンサルタントに携わってきた。塩尻ワイン大学の1期生でもある。彼の強みは、長年のワインキャリアで、世界のワインとワイン造りを熟知していることだ。誤解をおそれずにいうと、ワイン造りに参入する人の多くは、初めてのブドウ栽培、初めての醸造に手探りで取り組んでいるが、沼田さんは最初から明確なビジョンを持ち、現場の技術も身につけている。低温浸漬や超微細ミストによる湿度管理など、的確な設備投資がその例だ。また、ブルゴーニュのトップワインの味わいの基準を自分の中に持ち、その尺度で自分のワインを測っている。彼のピノノワールは、初年度リリースの『零』『壱』はクオリティ志向のワインとして造られ、13200円の値付けでリリースされた。この『キュヴェ 善知鳥 2025』は、2年目のピノノワールになるが、手摘みで収穫した後、1週間の低温浸漬、2週間の発酵、マロラクティク発酵後、フランスの新樽で約2か月間熟成させたキュヴェと、114Lの古樽で熟成させたキュヴェをブレンドした。ブドウも若く、ちょっと軽いがピノノワールらしさを感じることができる。また、同時に取り組んでいるシャルドネは『キュヴェ 白鷗 2025』が、早くも日本ワインコンクール2026で金賞を受賞した。

参考価格 ¥6,600(2025)
