ストーリーのあるワインと暮らし

Wine & Story

ブルゴーニュ注目ワイナリー – 8 –アンヌ・ソフィー・ドゥバヴェラエール
女性ワインメーカーのパイオニア

(2014.06.02)
ドメーヌはリュリィの教会に隣接している
ドメーヌはリュリィの教会に隣接している
女性ワインメーカーによるワイン造り

こちらは、コート・シャロネーズのリュリィ村のドメーヌである。リュリィの土地は石灰質の多い白い土地で、ミネラル分の多いワインとなる。コート・ドールのようなボリューム感はないが、フィネスのある品のいいワインができる。その中でもこちらは女性がワイン造りを行うドメーヌとして有名である。相続でワイナリーを引き継ぐ女性はいるが、実際にワイン造りを指揮する女性のワイン・メーカーは、ブルゴーニュワインの協会の中でも珍しい。せいぜい数人しかいないそうだ。アンヌ・ソフィーさんは、地元出身だが、ワイン生産者の家系ではない。結婚後にディジョンのワイン醸造技術士スクールで学び、一からドメーヌを興した人だ。

1984年に最初の1ヘクタールの畑を買って、その後、20年かけて10ヘクタールまで増やした。初ヴィンテージは1989年。ワインは赤も白も、タンニンは求めず、果実実のある柔らかいテイスト。それをもって女性的とまとめてしまっては短絡的だが、このドメーヌの特徴は、やはり女性ならではの感性を生かしたワイン造りであるという。アンヌ・ソフィーさん自身、女性が造ったワインはブラインド・テイスティングでもはっきりわかる。ワインにも性別があると言っている。畑はビオではないが、ビオの理念を尊重した自然派農法。農薬を減らしたら、畑が活力を回復し、野生のランが生えてきた。発酵は主に中古のセメントタンクを使用、ピザージュは弱くする。新樽は使わず、中古の樽を購入して使う。日本にも女性が開いたが手作り感たっぷりのカフェやケーキショップがあるが、そのワイン版かもしれない。ワイン造りへの愛情がたっぷり感じられる。

アンヌ・ソフィー・ドゥバヴェラエールさん。年は聞かなかったが、夫は医師、子供は4人。
アンヌ・ソフィー・ドゥバヴェラエールさん。年は聞かなかったが、夫は医師、子供は4人。

醸造所は少し離れた場所にある。看板がかわいい
醸造所は少し離れた場所にある。看板がかわいい

小ぶりのステンレスタンクも使う。奥は横置き式
小ぶりのステンレスタンクも使う。奥は横置き式

3男のフェリックスさん。ディジョンで醸造を学んだあと、オスピス・ド・ボーヌで修行。ドメーヌを継ぐ前にオーストラリアで経験を積む
3男のフェリックスさん。ディジョンで醸造を学んだあと、オスピス・ド・ボーヌで修行。ドメーヌを継ぐ前にオーストラリアで経験を積む

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右2本は、ブルゴーニュ聞き酒騎士団によるテイスティングで優秀ワイン賞「タスト・ヴィナージュ」に認定されている

ドメーヌのおすすめワイン、左から
リュリィ・レ・カイユ
リュリィ・プルミエ・クリュ・レ・ピエール
リュリィ・レ・カイユ


Domaine Anne-Sophie Debavelaere