カリフォルニアのジンファンデル-1-カリフォルニアの誇り
ジンファンデルのワイン
(2016.03.28)
![ca_wine2016-01_00](https://wineandstory.jp/img/2016/03/ca_wine2016-01_00-700x467-1.jpg)
100年以上にわたってカリフォルニアに根付き、花開いたジンファンデル。クロアチア・オリジンが判明したとはいえ、現在でも世界で最大の生産量と高クオリティの、謂わばカリフォルニアの誇りといっていいぶどう品種。そんなジンファンデルの名うてのワイナリーを紹介する。
ガーギッチ・ヒルズ・エステート Grgich Hills Estate Napa
クロアチア・オリジンのジンファンデルがカリフォルニアで大きく花開いた
フランスとカリフォルニアの赤、白のワインをブラインドでテイスティングし、順位をつけるという催しが、1976年パリで開かれた。審査員の多くはフランスの3ッ星レストランのオーナーや有名ネゴスのトップなど。10本出品された白のなかで1位に輝いたのはカリフォルニアのシャトー・モンテレーナ産シャルドネ。その当時のワイン・メーカーが、このガーギッチ・ヒルズ・エステートのマイク・ガーギッチその人だった。
上記のエピソードから、ガーギッチというとシャルドネで語られることが多い。ではあるが、実はマイクはクロアチアの出身。彼は自国にジンファンデルのルーツがあるのではという想いを抱き続け、以前からUCデイヴィスのキャロル・メレディス教授らにジンファンデルのオリジンはクロアチアである、と語ってきた。その後の数々の調査や遺伝子解析の結果、2001年、ジンファンデルのオリジンは同国だという証明がなされた。ジンファンデルはマイクにとって強い思い入れのあるワインなのである。
![ワイナリーの前にはワイン・トレインの線路が走っている](https://wineandstory.jp/img/2016/03/ca_wine2016-01_01.jpg)
![右がオールド・ヴァイン・ジンファンデル。価格は125ドルと高額だが、1ヵ月ほどで完売してしまう](https://wineandstory.jp/img/2016/03/ca_wine2016-01_02-700x467.jpg)
![マイクの甥にあたる、クロアチア出身のイヴォ副社長](https://wineandstory.jp/img/2016/03/ca_wine2016-01_03-700x467.jpg)
ガーギッチでリリースしているジンファンデルはナパ・ヴァレー・ジンファンデルとミリエンコズ・オールド・ヴァイン・ジンファンデル(マイクの本名はクロアチア語ではミリエンコ。なのでワイナリーのレガシー・シリーズの各ボトルには、本名のミリエンコの字句が記されている)の2種。ワイナリーではジャミーでファットなジンファンデルを嫌う。双方ともに黒紫というより透明感も感じられる赤紫の色調で、口に含むと各要素は突出せずに穏やかなうまみが広がる、バランスのよいもの。
クロアチア・オリジンのぶどうがカリフォルニアで大きく花開いた、それがジンファンデルなのである。
![ワイナリーの前に植えられているジンファンデル。銘板にクロアチア・オリジン云々が記されている](https://wineandstory.jp/img/2016/03/ca_wine2016-01_04-700x467.jpg)
![ジンファンデルはこの大樽で熟成される](https://wineandstory.jp/img/2016/03/ca_wine2016-01_05-700x467.jpg)
ピーター・フラヌス・ワイン・カンパニー Peter Franus Wine Company Napa
マウンテン・グレープを用い、少量生産される高いクオリティのジンファンデル
ワイナリーのオーナー、ピーターは1971年UCバークレーを卒業(取得した学位はジャーナリズム)した後、シャローンを皮切りにキャリアを重ね、マウント・ヴィーダー・ワイナリーのワイン・メーカーとなり、その後1992年に独立。自身のピーター・フラヌスのブランドでワインづくりを開始するが、ワインはカスタム・クラッシュ(自らのワイナリーを所有せず、既存のワイナリーの醸造設備を借りて)での生産。ぶどうを持ち込んでいるのはレアード・ワイナリーで、ポール・ホブスなども利用しているところ。
白も含み毎年1ダースほどの銘柄を産するが、生み出すジンファンデルは3種類。どれも生産量は多くなく、最も少ないレッド・ヒル・レイク・カウンティ・ジンファンデルの2013年産で512ケース、最も多い2013年産ブランドリン・ヴィンヤードのジンファンデルでも1212ケースだけ。そしてこのブランドリンのジンがワイナリーのフラッグシップ。
![右がフラッグシップの2013ブランドリン・ヴィンヤード・ジンファンデル。1212ケースの生産量しかない](https://wineandstory.jp/img/2016/03/ca_wine2016-01_06-700x467.jpg)
![靄に覆われる標高400メートル近いブランドリンの畑](https://wineandstory.jp/img/2016/03/ca_wine2016-01_07-700x467.jpg)
ナパの西側、ソノマとの境に連なるマウント・ヴィーダーにあるシングル・ヴィンヤードがブランドリンで、標高350メートル前後の斜面には1920年代に植えられたジンファンデルも多く見られる。ワイナリーで心がけているのは、糖度を上げずに果実味をしっかりと残したぶどうを用い、全体のバランスを重視したワイン、なのでこのブランドリンはよくある力まかせのジンファンデルなどとは異なるエレガントさを備えたワインで、15.5パーセントというアルコールながら、その高さを感じさせない仕上がり。
自らを旧世界の性格と新世界のスピリット、それにロックンロールで成り立っていると表現するピーター。生み出すワインもまた然りである。
![剪定の時期を見定めているワイン・メーカーのティム・ドルヴン](https://wineandstory.jp/img/2016/03/ca_wine2016-01_08.jpg)
![100年近い樹齢のジンファンデル。幹の直径は30センチ前後もある](https://wineandstory.jp/img/2016/03/ca_wine2016-01_09-700x467.jpg)
![ジンファンデルは225リットルの倍の容量の樽も用いて熟成させる](https://wineandstory.jp/img/2016/03/ca_wine2016-01_10-700x467.jpg)