ストーリーのあるワインと暮らし

Wine & Story

カリフォルニアのジンファンデル―6―ジンファンデルは赤だけじゃない、
そのアナザー・サイドを廻る

(2016.05.22)
ジンファンデルから生まれるのは、たっぷりして飲み応えのある赤だけじゃあない。赤からは想像もできない、軽やかな口当たりでやさしい甘口のロゼがそれで、名前はホワイト・ジンファンデル。米国では30年以上最もポピュラーなワインの1本として人気。それからもうひとつ、ジンファンデルから絵本が生まれた。行間に流れているのは、多様性の尊重という誇るべきアメリカの良心。そんなジンファンデルのアナザー・サイドを廻る。
ベリンジャー・ヴィンヤーズ Beringer Vineyards Napa
軽やかな口当たりでやさしい甘口のホワイト・ジンファンデル、スパークリングもある

芝生の緑とのコントラストが美しいこのロゼ、実はジンファンデルからつくられている。収穫されたジンファンデル(年によっては少量のマスカットも用いる)は、4時間ほどスキン・コンタクトをおこない、果汁が美しいピンク色になったところで果皮を引き上げ、ステンレスのタンクで発酵、ロゼ・ワインができあがる。このロゼがホワイト・ジンファンデル。

薄いピンク色が愛らしいやや甘口のワインで、家での食事にはもちろん、戸外、ことにピクニックやバーベキューなどにはもってこい。アルコールも10パーセントほどと一般的なワインに較べ、3、4パーセント低めに仕上がっているので、アメリカでは男女を問わず、広く支持されていて、30年以上ロング・セラーを続けている。

創業は1876年。今年でちょうど140年になるベリンジャー
創業は1876年。今年でちょうど140年になるベリンジャー
ワイナリーのシンボル、ライン・ハウス。1883年に建てられた
ワイナリーのシンボル、ライン・ハウス。1883年に建てられた

1880年代後半にドイツ移民の兄弟が創業したベリンジャー社は、ナパで最も古い歴史を誇るワイナリーのひとつで。現在ではその生み出すワインとともにナパのみならずカリフォルニアを代表するワイナリーとなっている。そんな同社が1983年発売したのが、このホワイト・ジンファンデル。

なおホワイト・ジンファンデルはスティル・ワインだけでなく、発泡性のスパークリング・ホワイト・ジンファンデルもある。炭酸ガスを注入するのではなく、より本格的なタンク内二次発酵でつくられる、さわやかな口当たりのフレッシュなワイン。価格は双方ともに1,000円台前半と超お手ごろ、なのでこれからの季節、活躍する場に備え、ケース買いしておくのもグッド。

芝生の緑とピンクのコントラストが鮮やかなホワイト・ジンファンデル
芝生の緑とピンクのコントラストが鮮やかなホワイト・ジンファンデル
こちらはスパークリングのホワイト・ジンファンデル
こちらはスパークリングのホワイト・ジンファンデル
絵本 緑ぶどうのギャビーちゃん Gabby the Green Grape
行間に流れているのは、多様性や個の尊重という誇るべきアメリカの良心

この絵本の作者は、シカゴ生まれでサンフランシスコ在住、広告とマーケティング関係の仕事に携わってきたキンバリー・デジャーディン。ソノマの中心地ヒールズバーグにセカンド・ハウスがあり、すぐ北に広がるジンファンデルの産地、ドライ・クリーク・ヴァレーに2ヘクタール弱のぶどう畑を所有していて、週末にはピクニックがてらよく畑へ出かける(といっても、畑の世話は夫キースの担当だが)。

数年前、当時9歳だった娘メイソンが、濃い紫に熟したジンファンデルの房のなかにひと粒だけ緑のままのぶどうを発見したことにこの物語は始まる。

著者キンバリー・デジャーディンとギャビーちゃんグッズ
著者キンバリー・デジャーディンとギャビーちゃんグッズ
懇意にしているワイナリー、ランバート・ブリッジにディスプレイされた絵本とグッズ
懇意にしているワイナリー、ランバート・ブリッジにディスプレイされた絵本とグッズ

ギャビーちゃんの家族のパパもママもおじいちゃん、おばあちゃん、それに兄弟たちも皆緑から紫に色づいていくのに、しかしギャビーちゃんだけは緑のまま。みんなからは、どうして紫にならないの、等々せっつかれるが、それでもギャビーちゃんは平気、ひと粒緑状態を謳歌。

やがて収穫時期を迎え、色づいたジンファンデルはどんどん摘み取られていくが、緑色のギャビーちゃんがついている房だけは残ったまま。そして1年後、ギャビーちゃんのいるジンファンデル畑の他のみんなも紫になるのを拒否し緑のまま、で摘まれるのを免れる、というお話し。

キンバリー自身が長い間温めてきた、ダイヴァーシティや他と違っていてもいいんだというテーマを絡めたストーリーで、ジンファンデルという謂わばアメリカの誇りともいうべきぶどうを通して、アメリカが大切にしてきた多様性、個の尊重、そのあり方を問うている。

最後に、イラストを担当し、グッズも手掛けたビル・ハートは日本のアニメやキャラクターが大好きとのこと。

絵本にも登場するドライ・クリーク・ジェネラル・ストアにもギャビーちゃんは置いてある
絵本にも登場するドライ・クリーク・ジェネラル・ストアにもギャビーちゃんは置いてある
ジンファンデルは均一に熟さない。房のなかには濃い紫、青、緑色などの顆粒が見られる。ボーグル・ヴィンヤードのジンファンデル畑から
ジンファンデルは均一に熟さない。房のなかには濃い紫、青、緑色などの顆粒が見られる。ボーグル・ヴィンヤードのジンファンデル畑から