ストーリーのあるワインと暮らし

Wine & Story

ブルゴーニュ観光案内 – 5 – オスピス・ド・ボーヌ
ワイン・オークションで有名な修道院

(2014.05.28)
このブルゴーニュ式のデザインは外からは隠れ、中庭に面している
このブルゴーニュ式のデザインは外からは隠れ、中庭に面している
ブルゴーニュの崇高な精神性

オスピス・ド・ボーヌといえば、ワインの名前であり、ワインの競売で有名な修道院だが、ランドマークとしてのオスピス・ド・ボーヌは、ボーヌ施療院(L’Hôtel-Dieu de Beaune)である。この中世から続く病院が、ブルゴーニュの精神を高貴なものにしている。まずは歴史から振り返ってみよう。中世のブルゴーニュは公国として、ブルゴーニュ公爵が治めていた。百年戦争で疲弊した1443年のこと、宰相ニコラ・ロランが、戦争で傷ついた貧しい者たちの療養所として建てたのがオテル・デューだ。まずはなにをおいても、無料で貧しい人の介護をするというコンセプトが素晴らしい文化遺産であり、特徴的なスタイルを持つ建築遺産でもある。

建物で目を引くのが、黄と赤、茶色などの彩色瓦による屋根の幾何学模様である。これは、ブルゴーニュ公国の領地であった毛織物で栄えたフランドル地方の様式を導入したものだが、それがその後のブルゴーニュの典型的な建築アイコンとなった。この病院は中世から20世紀に至るまで、ずっと病院として使われてきた。そして、その修道院の慈善活動を支えてきたのが、ワイン事業である。中世以来、貴族やブルジョワジーによって寄進されたブドウ畑でワインを造り、それを競売にかけることによって資金調達してきたのだ。現在、オスピス・ド・ボーヌが所有する畑は61ヘクタール。競売は、1859年以来、毎年行われている。

通りに面した外観は内部の豊かさを隠す質素なしつらえ
通りに面した外観は内部の豊かさを隠す質素なしつらえ

オテル・デューの入口。1443年、ニコラ・ロランにより創建
オテル・デューの入口。1443年、ニコラ・ロランにより創建

左右にベッドが並ぶ病室、「貧しき者の広間」
左右にベッドが並ぶ病室、「貧しき者の広間」

キリストの壁画に見守られる特別な病室「聖ユーグの部屋」
キリストの壁画に見守られる特別な病室「聖ユーグの部屋」

中世からの薬局。ハーブが中心だが、意味不明の秘薬も多数
中世からの薬局。ハーブが中心だが、意味不明の秘薬も多数

フランドルの画家による「最後の審判」を描いた衝立画
フランドルの画家による「最後の審判」を描いた衝立画
Hospices de Beaune