ストーリーのあるワインと暮らし

Wine & Story

カリフォルニアスタイル エレガントなワインを生む
ソノマのワイナリー

(2014.07.20)

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ナパと並ぶカリフォルニアの二大ワイン産地ソノマだが、その歴史は古く、カリフォルニア・ワインのストーリーはここソノマから始まった。北極海から流れ込む寒流の影響により気候もナパに較べ涼しく、ぶどうも冷涼な環境を好むシャルドネにピノ・ノワールの適地。そんなソノマのとっておきワイナリーをご紹介。
コパン・ワインズ (Copain Wines) Sonoma
冷涼な産地から、果実味だけではない構成のしっかりしたエレガントなワインを生む

ワイナリーの名称のコパンとは仲よし、相棒を意味するフランス語だが、共同経営者でワイン・メーカーのウェルズ・ガスリーはフランスのローヌとブルゴーニュでワインづくりの研修をおこない、ソノマの中心部ロシアン・リヴァー・ヴァレーに1999年、ワイナリーを設立した。

シャルドネにピノ・ノワールとシラーをメインに生むワイナリーはソノマのロシアン・リヴァー・ヴァレーにあるが、用いるブドウの大半は、ソノマの北140キロメートルほどに位置するメンドシーノ・カウンティのアンダーソン・ヴァレーとその南に連なるヨークヴィル・ハイランズから調達。涼しい産地として知られるソノマだが、上記の産地はより冷涼な気候で注目されている。

ブルゴーニュではデュジャックなどで研修をおこない、ドメーヌ・ルミエのクリストフやジャン=ジャック・コンフュロンのアラン・ムニエとも交友があるウェルズが目指すのは、低めのアルコールでフード・フレンドリーなワイン。ウェルズ自身がフラッグシップと自負するカイザー畑は、アンダーソン・ヴァレーのなかでも最も北西に位置する。2010年ヴィンテージのカイザーのアン・オーとアン・バの双方のキュヴェともにアルコールは13パーセントに達しなく、透明感あるルビーの色調の赤は、エレガントでピュアな果実味が酸やその他の要素とよい調和で纏まっていて、カリフォルニアの新たな可能性を感じさせてくれるピノ・ノワール。ただ、このカイザー始め、単一畑のワインは200ケースから400ケースという生産量しかないため、手に入れるのは至難の業。ワイナリーでは、いくつかの畑のブレンドとなるトゥザンサンブルやレ・ヴォワザンといった、ブルゴーニュに置き換えるとヴィラージュ・クラスのワインもリリースしていて、こちらは数千ケースの生産量があるため、入手も可能。

コパンの代表的なワインたち
コパンの代表的なワインたち

ワイン・メーカー、ウェルズ・ガスリーによる畑の詳細な位置の説明
ワイン・メーカー、ウェルズ・ガスリーによる畑の詳細な位置の説明

ワイナリーからの眺め
ワイナリーからの眺め

容量の小さいステンレスの発酵タンクが並ぶ
容量の小さいステンレスの発酵タンクが並ぶ
ハートフォード・ファミリー・ワイナリー (Hartford Family Winery) Sonoma
畑ごとの差異にこだわり、テロワールの表現に腐心するワイナリー

ナパに較べ、ソノマではピノ・ノワールにシャルドネなどのブルゴーニュ系品種が多く見られるが、それはひとえに冷涼な気候によるもの。カリフォルニアは、沿岸を南下する北極海からの寒冷な海流によってもたらされる冷気が、海岸沿いを南北に走る山地によって阻まれ、冬でも温暖な地中海性気候となっている。が、その山地には切れ目があり、北からペタルマ・ギャップ、モントレー、サンタ・バーバラが、3つの大きな冷気の通り道となっている。ソノマは、そのうちのペタルマ・ギャップからの冷気を得て、上に記したぶどう品種の適地となっている

そんなソノマのなかでも中心部のロシアン・リヴァー・ヴァレーは、ピノ・ノワールで名を馳せるワイナリーが多く見られ、ハートフォードもここにある。弁護士のダン・ハートフォード(東京の弁護士事務所でも働いていた経緯があり、加えて伴侶ジェニファーも同業。さらに彼女の父親も同じ法曹家にしてケンダール=ジャクソンの創業者)により、1994年に設立されたワイナリーは今年でちょうど20年になる。

生産するワインはピノ・ノワールにジンファンデル、シャルドネに限られるが、そのアイテム数は20種類にのぼる。これはヴィンテージによって異なるものの、シャルドネで5アイテム、ジンファンデルも同じく5アイテム、ピノ・ノワールにいたっては10アイテム程度の銘柄をリリースすることによるもの。ワイナリーでは畑毎の差異にこだわっていて、それぞれ特徴あるテロワール(収穫が11月になることもあるような冷涼な畑や、ソノマ以外のアンダーソン・ヴァレーの畑等)や樹齢の異なり(100年近い樹齢のジンファンデルが植わる畑)を十全にワインに表現するためだ。ほとんどが300ケース前後と非常に少ない生産量しかないため、なかなかお目にかかれない畑名表記のワインだが、どれも総じて評価は高い。

瀟洒なたたずまいのワイナリー
瀟洒なたたずまいのワイナリー

ずらりと並ぶ畑名付きのワインたち
ずらりと並ぶ畑名付きのワインたち

ボトリング・モビールによる瓶詰め
ボトリング・モビールによる瓶詰め

樽は6段で積まれている
樽は6段で積まれている
ピーター・マイケル・ワイナリー (Peter Michael Winery) Calistoga
マウンテン・ヴィンヤードから少量生産される、高酒質のワインたち

ソノマといってもナパ北部、セントヘレナ山のすぐ西に位置するナイツ・ヴァレーにワイナリーとヴィンヤードはある。山ひとつを所有しているに等しく、なかには小川が流れ総面積は300ヘクタールに達するものの、ブドウが植えられている畑は2割ほどに留めていて、できるだけ環境の保全に努めている(そのため、鹿はもちろん、熊に山猫にコヨーテまで出没する)。ワイナリーは標高125メートル前後にあるが、畑は250メートルから600メートル付近にかけて広がっていて、緩急併せた斜面の最大斜度は40度に達するというマウンテン・ヴィンヤード。

上記の畑は英国人ピーター・マイケル(放送・映像関連のデジタル機器を開発するインターナショナル企業の創業者)が1982年に購入。ほどなくシャルドネで大きな成功を収め、ピーター・マイケルの名は一躍脚光を浴びることとなる。ワイナリーのモットーは、完璧なブドウを育て、手をかけずにワインに変身させる、というもの。そのためマウンテン・ヴィンヤードにもかかわらず排水設備を完備している。つくりも特別な点は見当たらず、野生酵母を用い、フィルターはかけずに瓶詰め。アルコールはほとんどのアイテムで15パーセントを超えるが、その強さよりもテロワールによるキュヴェごとの異なる果実味と各要素のバランスに集中感が重層的な複雑さを備えているもの。

ワインのキュヴェ名にはフランス語を用い、なかでもカベルネ・ベースからなるレ・パヴォー(ラベルにも描かれているポピーの意味で、カリフォルニアの州花)は、ワイナリーのフラッグシップ的存在。15年ほど前にはソノマの太平洋沿岸の非常に冷涼な産地フォート・ロス=シーヴューに畑を購入し、ピノ・ノワール3種の生産を開始。まだ数回のリリースのみだが、ナイツ・ヴァレーに劣らぬ高い酒質のワインに仕上がっている。基本的に自社畑産ブドウのみでワインづくりをおこなっているピーター・マイケルも、ピノ・ノワールのル・ムーラン・ルージュだけは、以前と同じくピゾーニ・ヴィンヤードからの果実で仕上げている。現在15アイテムをリリースしているワイナリーでは、もう1種オー・パラディというワインを準備中で、それがリリースされると、当面のラインナップが完成する。

ワイナリーのゲート
ワイナリーのゲート
ワイナリーの代表的なワインたち
ワイナリーの代表的なワインたち

風よけスクリーンが張られたぶどう樹。傾斜は最大で40度に達する
風よけスクリーンが張られたぶどう樹。傾斜は最大で40度に達する

畑は山腹に拓かれている
畑は山腹に拓かれている