ストーリーのあるワインと暮らし

Wine & Story

カリフォルニアスタイル 料理に合わせて選べる愉しさ
ワイン、バイ ザ グラス

(2014.04.20)
Wine & Story California by the Glass Promotion
いまさら言うまでもないが、ワインは食事に欠かせないマスト・アイテム。とはいえ、ボトルとなると仰々しい。そこで財布にもやさしく、一皿ごとにしっかり料理に合わせられるのがバイ ザ グラス。カリフォルニアでは、当たり前のワインスタイルだ。心も軽くなるこれからの季節、気の置けない友人たちと気軽にバイ ザ グラスを愉しもう。
料理との相性が広がるバイ ザ グラス

よほどの大酒飲みでもないかぎり、ひとりでボトル1本は開けられない。そんなときはバイ ザ グラス。では、ふたりの場合は? 例えばピザのようにシェアして愉しむ料理の場合、赤好きの彼はいつも通り赤ワイン、私は桜色が美しいロゼワイン、とバイ ザ グラスであればまったく問題なし。また前菜に、スズキのカルパッチョとハモン・セラーノ、異なる料理をオーダーする場合は、それこそバイ ザ グラスの出番。スズキには白のソーヴィニョン・ブラン、ハモン・セラーノにはシラーのロゼを合わせれば、ワインとの素晴らしいマリアージュが体験できる。これがバイ ザ グラスの最も嬉しいところ。

カリフォルニアでは、それなりの店であれば、スパークリング、白、ロゼ、それに赤と、最低でも4種類はバイ ザ グラスを用意しているし、ワインに力を入れているレストランであれば、同じ赤でもブドウの品種違いで数種類をオン・リストしているところも珍しくない。

今回はカリフォルニアワインの2大産地、ナパとソノマのレストラン、それにベイ・エリアの店にスポットを当て、バイ ザ グラスの愉しみ方を紹介する。

ブション (Bouchon) Yountville,Napa Valley
ナパのど真ん中で堪能、星付きレストランのバイ ザ グラス

ワイン産地ナパの要となるヨーントヴィルは、人口3000人あまりの小さな町。フレンチ・ベースのレストラン、ブションはここにある。メニューにはフリュイ・ド・メール(シーフード盛り合わせ)などが並ぶが、ナパはサンフランシスコ・ベイ・エリアの一部で、サンパブロ湾から10キロちょっとの距離しかないため、新鮮な魚介類も豊富に手に入る。クラッシュド・アイスに盛られたカキは異なる4種が計1ダース。なかでもブロンと呼ばれるシェルが丸い形のものは味が濃く、クリーミーなシャルドネにぴったり。ストウブの鉄鍋で出されるムール貝は、その数2ダース以上とまさに店名に恥じない量(ブションはフランス語でワインの栓を指すが、他にリヨン周辺の大衆食堂の意味もあり、ともかく量がすごい)だが、ワインが欲しくなるうまみ十分な一皿で、白よりはジンファンデルのロゼによい相性。この日は平日、それも週の半ばだというのに開店して1時間も経たずに満席に。それもそのはずで、このブション、世界で最も予約の取りにくいミシュラン3ッ星レストラン、フレンチ・ランドリーのセカンド的位置付けの店。とはいえ気取りはなし、皆バイ ザ グラス片手に賑やかなテーブルを囲んでいる。

3ッ星フレンチ・ランドリーの姉妹店、レストラン・ブション
3ッ星フレンチ・ランドリーの姉妹店、レストラン・ブション
フリュイ・ド・メールにはもちろんバイ ザ グラス
フリュイ・ド・メールにはもちろんバイ ザ グラス
ストウブの鉄鍋にたっぷり盛られたムール貝。フレンチ・フライと召し上がれ
ストウブの鉄鍋にたっぷり盛られたムール貝。フレンチ・フライと召し上がれ

マシュルームがたっぷり入った熱々キッシュ
マシュルームがたっぷり入った熱々キッシュ
ヒールズバーグ・バー・アンド・グリル (Healdsburg Bar & Grill) Sonoma
ワインに精通したシェフが手がける、アメリカン・ソウル・フード

ナパと並ぶカリフォルニアの2大ワイン産地ソノマ、その中心都市がヒールズバーグ。町の名を冠したヒールズバーグ・バー・アンド・グリルは一見何の変哲もない、田舎町によくあるレストラン、と思うと、うまい料理を逃すことになる。2004年から2012年までの8年間、同じヒールズバーグの町で営業していたレストラン、サイラスは、2006年に創刊したミシュランのサンフランシスコ版で、閉店するまで2ッ星に輝いていた店としてつとに有名。

この店のシェフを務めていたのが、今のヒールズバーグ・バー・アンド・グリル(HBG)のオーナー・シェフ、ダグラス・キーン。度々来日もし、和の食材にも精通、かつてレストランで漬物まで出していたという親日家でもある。現在はアメリカン・ソウル・フードに特化し、質の高いステーキ・フリットで17.5ドルという気軽なレストランとして、連日大繁盛している。バイ ザ グラスは常時15種類を揃えているが、希望があれば、ボトル売りもグラスでサーヴィスしてくれるという、バイ ザ グラス・ファンにはありがたい店だ。

HBGのオーナー・シェフ、ダグラス・キーン
HBGのオーナー・シェフ、ダグラス・キーン
ベーコンをオリーヴ・オイルでカリカリに揚げたお皿にぴったりなのはサンジョヴェーゼのロゼ
ベーコンをオリーヴ・オイルでカリカリに揚げたお皿にぴったりなのはサンジョヴェーゼのロゼ
アメリカンなお皿の数々に合わせて、バイ ザ グラスも選り取り見取り
アメリカンなお皿の数々に合わせて、バイ ザ グラスも選り取り見取り
昼も夜もテラス席は大人気
昼も夜もテラス席は大人気
フレンチ・ブルー (French Blue) St.Helena,Napa Valley
お手頃価格が嬉しい上質なカリフォルニア・キュイジーヌ
ナパのもうひとつの中心地セントヘレナのダウンタウンにある、女子心をくすぐるカリフォルニア・キュイジーヌのレストランがフレンチ・ブルー。メニューはスターターとメイン・コースの2皿構成で、薪でグリルするステーキが最も高く33ドルという価格だが、大半の料理は2皿で50ドル前後とお手頃価格で愉しめるものとなっている。オープン・キッチンには薪で焚くオーヴンがしつらえてあり、ツーリストも見られるものの、多くは地元のお隣さんたちがテーブルを囲んでいる。気軽に愉しめるバイ ザ グラスが多く、デカいアイス・バケツにはスパークリング、白、ロゼ、10種類ほどが冷やしてあり、他に赤が半ダースほどスタンバイしている。
フレンチ・ブルーのバイ ザ グラスは量もたっぷり
フレンチ・ブルーのバイ ザ グラスは量もたっぷり
この店に限らず、多くのレストランがテラス席を用意している
この店に限らず、多くのレストランがテラス席を用意している
カリフォルニア版ハモン・セラーノ。脂の上品な甘味がロゼによく合う
カリフォルニア版ハモン・セラーノ。脂の上品な甘味がロゼによく合う
薪でグリルしたリブロース。厚さは優に1インチ以上
薪でグリルしたリブロース。厚さは優に1インチ以上
ギャザー (Gather) Berkeley
オーガニックでラジカルなレストラン

サンフランシスコから東へ車で30分ほど、UCバークレー(カリフォルニア州立大学バークレー校。全米屈指の名門大学で、東海岸のハーヴァード、プリンストンなどと同レヴェルだが、何よりもそのリベラルな校風で知られる)の所在地として有名なバークレー市、そのUCバークレーに道路1本を隔てて向かい合うレストランが、ギャザーだ。ヴィーガン・メニュー(手っ取り早い説明としては動物性の食材を使用しない料理)が人気の店だが、決して菜食主義者だけが訪れる訳ではなく、若鶏の丸焼きなどのメニューもある。要は、食材はオーガニックを主に、加えてサステイナブル(環境に出来るだけ負荷をかけず)に生産されたものを用いるという、きわめてラジカルな姿勢で料理に取り組んでいる店。当然ワインもオーガニックで生産されたものが多くオン・リストされ、バイ ザ グラスの種類も充実している。

きわめてシンプルなエントラス
きわめてシンプルなエントラス

代表的なヴィーガン・メニュー。やさしい味わい
代表的なヴィーガン・メニュー。やさしい味わい
若鶏は1羽丸焼きでサーヴされる
若鶏は1羽丸焼きでサーヴされる
活気ある店内。客の半数以上がUCバークレーの学生
活気ある店内。客の半数以上がUCバークレーの学生

フェリー・ビルディング・ワイン・マーチャント (Ferry Building Wine Merchant) San Francisco
近所の店の食材をバイ ザ グラスで愉しめるワイン・ショップ
サンフランシスコのベイ・エリア、フィッシャーマンズ・ワーフの3キロメートルほど南東にあるフェリー・ビルディング。ここはオーガニックを中心とした食材の店にレストランなどが軒を連ねるが、当然ワイン・ショップもある。店内ではバイ ザ グラスのサーヴィスもあり、5軒先のパン屋や3軒先の自家製ベーコンやサラミが吊るされたミート・ショップの食材がメニューに並び、ワインを愉しめるようになっている。
バイ ザ グラスで愉しむシャルドネにソーヴィニョン・ブランとピノ・ノワールにシラー
バイ ザ グラスで愉しむシャルドネにソーヴィニョン・ブランとピノ・ノワールにシラー
チーズ・ショップ、カウガール・クリーマリーの圧巻の品揃え。欧州産もあるものの、多くは地元カリフォルニア産
チーズ・ショップ、カウガール・クリーマリーの圧巻の品揃え。欧州産もあるものの、多くは地元カリフォルニア産
向かって左がワイン・ショップ。右はバイ ザ グラスが愉しめるテーブル席
向かって左がワイン・ショップ。右はバイ ザ グラスが愉しめるテーブル席
中央のデカい塊はドライ・エイジド・ビーフ。お値段1ポンド当たり23ドル98セント也
中央のデカい塊はドライ・エイジド・ビーフ。お値段1ポンド当たり23ドル98セント也