日本ワイン・ランキング 日本ワインの特徴を知る
注目すべき銘柄10本
(2014.06.15)
日本のワインがブームだという。だが、そもそも日本のワインにどんな特徴があるのか。外国のワインとどう違うのか。そしてなにより、何を飲めばいいのか。実はそのあたりが難しい。今回は、初心者向けに日本のワインをセレクト。案内役は、全国のワイナリーを訪ね、自身の店でも200種類以上の国産ワイン扱うバッカス・マーケットの加納忠幸さん。日本ワインの魅力とはなにか。そしていま注目すべきワイン10本とは?
日本のワインの品質が上がってきた。
また、ワイン造りの現場も変化しています。ワイン造りに情熱を持った30〜40代の若い人たちが増えてきました。品質の高いワイナリーでは、どこも若い人たちが頑張っています。彼らはいいワインを造りたいという情熱を持っています。またお土産用ワインを作っていたようなワイナリーでも、後継者となった若い人たちがワイン造りに目覚め、品質を上げてきています。
ワイン造りは日本全国に広がっています。いまやワインは勝沼など古くからの産地だけではなく、北海道から九州まで、四国以外のほとんどの土地で造られています。そしてそれぞれの地域で、土地にあった品種が試され、特徴のあるワイン造りが行われているのです。
日本のワインのいいところは、そうしたワイナリーに直に行けるところだと思います。実際にワイナリーを訪れて、生産者と気軽にコミュニケーションがとれるのです。日本のワインに目覚めて、週末ごとに山梨通いをしているワインマニアはたくさんいます。日本のワインにはそういう楽しみがあるのです。また、日本の水で育ったワインは、日本の料理と相性がいいというのは言うまでもありません。
最後に、日本のワインを愛する者として、ひと言だけ言わせてもらうなら、こうして大きなブームがきているのだから、一過性のものに終わらせないように、業界全体が努力していかなければならないということです。具体的にはグローバルスタンダードにあわせたワイン作りを推進することです。産地表示の問題もそうですし、720ml瓶の問題、名前の付け方や価格についても、きちんとした形に整えていく必要があります。私は特に大手のワインメーカーが引っ張る形で推進してほしいと思っています。
今回は、買いやすい価格帯のワインの中から、様々な特徴が味わえるおすすめワインを10本セレクトしました。10本に順位付けはありません。ぜひ試してみてください。
中央葡萄酒 グレイス甲州
日本を代表する甲州種のワイン
中央葡萄酒の看板ワインであり、日本を代表する甲州種のワイン。以前は、甲州というワインは甘いし、しまりがなくておいしくないと思っていましたが、2000年にこのワインを飲んで目から鱗が落ちました。私を日本のワインに目覚めさせてくれた1本。甲州は日本食に合うワイン。味わいが強くないので、和風だしとの相性がよく、和食の総菜とよく合います。
丸藤葡萄酒工業 ルバイヤート甲州シュール・リー
安心して飲める甲州
丸藤葡萄酒工業は、勝沼の三大ワイナリーのひとつに数えられる名門です。常においしく安心して飲めるワインを提供しています。香味を残すために瓶詰め直前まで澱引きをせず、澱とワインを接触させながら寝かせるシュール・リーという醸造法を採用。さわやかな香味が特徴のワインです。
エーデルワイン・ハヤチネゼーレ・ツヴァイゲルトレーベ樽熟成
岩手の実力派赤ワイン
ツヴァイゲルトレーベとは、オーストリアの黒ブドウ品種。寒冷な土地で栽培される品種で、このワインは岩手県花巻市の山間の町、大迫町で造られています。実はこのエリアは日本には少ない石灰質土壌で、ワイン造りに最適な土地といえるのです。国産には珍しいしっかりした赤ワインで、私も衝撃を受けました。昨年のawcウィーン国際ワインコンクールにおいて、2007年ヴィンテージが、日本のワインとして初の金賞を受賞しています。
旭洋酒 それいゆ・ピノ・ノワール
若手醸造家が造る代表的ピノ
日本でもこんなに美味しいピノノワールができるようになりました。ワイン造りに情熱のある鈴木夫妻が、売りに出されていた共同醸造所「旭洋酒」を引きつぎ、ワイン造りに励んでいます。ブドウ畑は山梨市岩手地区の標高のある南向き斜面にあり、小川孝郎さんとの協働契約栽培で、低肥料草性栽培による土作り、一文字短梢仕立てと、こだわりのブドウ作りを行っています。
シャトー・メルシャン 長野メルロー
日本を代表するワイナリーの1本
メルシャンは日本のワインを牽引するワイナリー。技術情報を積極的に公開し、日本のワインがいまあるのもメルシャンのおかげといってもいいぐらい。このワインは、いまや日本を代表する銘醸地となった長野県桔梗ケ原地区のメルローに北信地区のメルローをブレンドしたもの。輸入ワインの同一クラスのワインと遜色のない品質となっています。今回のセレクトは各社1 本としましたが、メルシャンには同等の水準のワインがたくさんあります。
小布施ワイナリー ソガ・ペール・エ・フィス・メルロ・カベルネ・ソーヴィニヨン・オルディネール
本場で学んだ高水準のワイン造り
小布施ワイナリーの曽我彰彦さんは山梨大学でワイン造りを学び、ブルゴーニュのヴォーヌ・ロマネ及びシャブリのワイナリーで修業した人。研究熱心で日本のワイン造りを引っ張る若手の代表です。日本では珍しく自社畑での栽培にこだわりを持ち、栽培から醸造、販売まで、哲学を持ってワイン造りを行っています。それもあって、残念ながらこのワイナリーの商品はネットでは扱えません。中堅メーカーでありながら、大手に互してコンクールで常に入賞、高いところを目指す生産者です。一般的に小規模ワイナリーでは、いいワインがあっても、赤か白かどちらかのことが多いのですが、こちらは赤も白も水準の高いワインを造っています。
安心院葡萄酒工房 安心院エキストラ・ブリュット
大分のシャンパーニュ
スパークリングワインは、大分県の安心院(アジム)を選びました。寒暖差の高い大分県内陸部の盆地、安心院町でつくられたワインです。瓶内二次発酵のシャンパーニュ製法で造られた本格的なタイプ。しかもシャルドネ100%のブラン・ド・ブランです。2009年の国産ワインコンクールで金賞を受賞。日本で、この値段で、シャンパーニュ方式 のワインを造るなんてすごいと思います。
熊本ワイン 菊鹿シャルドネ
熊本の個性派白ワイン
熊本県北部にある山鹿市菊鹿町(やまがしきくかまち)で契約栽培されたシャルドネを100%使用。暑い地域ですが、畑は山間部にあって、しっかりしたブドウが育っています。このワインの特徴は、ステンレスタンクでつくったワインと、前年の樽熟成したワインをブレンドしていること。そのためにヴィンテージ表示はありません。さわやかな果実感とともにしっかりとした味わいのある辛口ワインとなっています。
仲村わいん工房 がんこおやじの手造りわいん
大阪のこだわり赤ワイン
大阪市東住吉区の酒屋さんがやってるワイナリー。名前の通り、がんこおやじが家業をほったらかして、羽曳野市にあるワイナリーと畑に通い詰め、のめり込んで造ったワインです。大阪でワインというと意外に思うかもしれませんが、戦前は山梨と並ぶブドウ産地だったそうです。いまは平地は宅地開発され、ブドウ畑が残っているのは山の斜面だけ。こちらの畑も山道を上がった急斜面にあります。100%自家栽培ブドウ、減農薬、手摘み収穫、自然に逆らわない古式醸造方にこだわり、栽培から醸造、瓶詰めまでをほとんどひとりで仕上げるこだわりの1本です。
北海道ワイン 北海道ケルナー
コストパフォーマンスの高い白
北海道ワインは日本のワイナリーの中でいちばん広い自社畑を持ち、高品質のワインを低価格で販売する会社です。自社農園の鶴沼ワイナリーでは、巨大な収穫用機械ハーベスターも使用しています。このワインはドイツ系の品種ケルナーを使用したさっぱりとした味わいの白ワイン。鶴沼ワイナリー及び道内の契約栽培農家で収穫された完熟ブドウを使用しています。ケルナーは他のワイナリーでは値段の高いものが多いのですが、このワインは1000円クラス。コストパフォーマンス抜群の1 本です。
北海道ワイン 北海道ケルナー 北海道 ケルナー100%