カリフォルニアのジンファンデル―3―アメリカンな皿に最も合う赤は?
答えは、ジンファンデル!
(2016.05.22)
日本ではカベルネほど知られていないジンファンデルだが、料理に合わせるにはもってこいの赤。果実味たっぷりでカベルネのようなタニックさはなく、タイプもさまざまで、ハンバーガーやバーベキューなどベーシックなアメリカン・キュイジーヌはもちろん、イタリアンからスタイリッシュな料理にもよい相性で、その守備範囲は広い。
ハンバーガーやピザはもちろん、洗練された料理にもいけるジンファンデル
たっぷりとした味わいでちょっとスパイシーなところもあるジンファンデルは、アメリカ人の好きな赤身の肉にとても具合よく、日ごろの食卓に上ることが多いハンバーガーや週末の定番バーベキューでは頻繁に開けられる。しっかりした飲み応えながら10~20ドル台の価格で十分愉しめるものが多いのも大きな魅力。
加えてピザやパスタといったお手軽イタリアンにもジンファンデルは欠かせない。チーズやオリーヴ・オイルはもともとワインと相性のいい食材、なのでこれらをふんだんに使ったイタリアンと合わないわけがない。実際、現地のイタリア料理店のワイン・リストにジンファンデルは必ずといっていいほど載っている。
ハンバーガーやピザにジンファンデルはもってこいだが、洗練されたアメリカン・キュジーヌにもいける。ヒールズバーグで、意識の高い大人の男女で賑わっているレストラン、シェッド。単なるレストランの範疇に収まらず、有機野菜や果実などの食材に加え、選りすぐりの調理器具(例えば日本の鍛造包丁やしゃもじなど)、さらにはガーデニング用のデカいスコップまで販売しているという、ちょっと変り種のお店。
お皿に畑が直結しているような料理が多く、サラダ以外でも野菜がふんだんに使われ、彩りも鮮やか。やさしい味わいながら、素材どうしが足し算、掛け算されよりうまみが引き出されたお皿に仕上がっている。そして、これらにジンファンデルがよく合う。グラス・ワインの赤は6種類ほどほどあるが、ピノ・ノワールやサンジョヴェーゼと並びジンファンデルもしっかりオン・リストされている。
セゲシオ・ファミリー・ヴィンヤーズ Seghesio Family Vineyards Sonoma
ソノマ有数のジンファンデルのつくり手が大切にするのは、イタリア直伝の食とワイン
1895年、イタリア移民のエドアルド・セゲシオがアレクサンダー・ヴァレーに植えたぶどう樹から始まったセゲシオの歴史は2015年、120周年を迎えた。ヒールズバーグの町のすぐ西に位置するワイナリーは、4代目となるテッド・セゲシオが取り仕切る。
現在はクロアチア・オリジンが証明されたジンファンデルだが、イタリアのプリミティーヴォも同種とされてきたように、彼の地とは縁が深い品種。セゲシオで産するワインは、故郷イタリアを強く意識したラインナップとなっていて、ジンファンデルとイタリア系品種を中心に3ダース以上の銘柄があるが、そのうちジンファンデルは9つを占め、多くのワイナリーがポートフォリオに載せているカベルネ・ソーヴィニヨンは単体でのリリースはしていない。
セゲシオのユニークなところは、ジンファンデルの場合、キャップの色分けで銘柄が分かるようになっていて、例えば10万ケース以上の出荷量がありワイナリーで最も売れているソノマ・ジンファンデルのキャップは紺色、フラッグシップのホーム・ランチ・ジンファンデルは緑、という具合。
いかにもイタリア系移民の末裔らしく食を大切にするワイナリーで、専属のシェフを擁し、ワイン・クラブのメンバーの集いなどで腕を振るっている。加えてワインによく合う大小のサラミやベーコンなども自社で製造し、販売もしている。
2015年、ワイナリー内の発酵スペースを一新。タンク内の温度コントロールに用いるグリコールのパイプを張り巡らすなどより効率化を図っていて、次の120年につなげている。