カリフォルニアスタイル カリフォルニアで体験する
ロゼとランチのマリアージュ
(2014.04.30)
休日のランチはワインと一緒に愉しみたいもの。昼だから、しっかりしたお皿よりは軽めの料理、となるとロゼの出番。気分によって自由に愉しめ、料理とのマリアージュも和洋中とその守備範囲は広く、相性も抜群。
フレンチ、イタリアンに限らず、エスニックランチともよい相性のロゼ
ここカリフォルニアでは、ロゼはフレンチ、イタリアンやカリフォルニア・キュイジーヌに加え、エスニック料理全般とも親しまれていて、例えばヴェトナム料理のフォー。スープはあっさり系ではあるが、出汁は牛や鶏肉などからとっているので、合わせるワインとしてはロゼによい相性をみせる。中華も花椒をたっぷり使った麻婆豆腐など、ワインの味わいを消してしまうような強いお皿を除けば、赤、白もいけるものの、ほとんどをカヴァーしてくれるのはロゼ。休日のテーブルにはバイ ザ グラスが並び、皆、ゆっくりとランチを愉しんでいる。
ワイナリーで愉しむロゼとランチ
カリフォルニアのほとんどのワイナリーではヴィジターを受け入れ、ワインのテイスティングをおこなっているが、加えてそれに合うちょっとした料理を供するところもある。ワイン産地カリフォルニアで、ワイナリーが提供するランチに合わせてロゼを愉しもう。
英語圏ではワインと料理の相性はワイン&フード・ペアリングというが、今回は、実際、レストランもつくってしまい、自社産ワインと本格イタリアンのフード・ペアリングを提供しているところと、専属のシェフを抱え、ワインに合った小皿料理をランチに愉しめるワイナリーを紹介する。
カモミ・ワイナリー (Ca’ Momi Winery) Napa
料理を選ばないロゼ・スパークリングだが、やはりイタリアンとは抜群の相性
3人のイタリア人が2006年に設立した、まだ10年に満たない若いワイナリーは、建物と畑はカーネロスにありワインを産するが、自社産ワインをベストマッチの料理と合わせて愉しめるよう、イタリアン・レストランも開いてしまった。ナパのダウンタウンにあるオックス・ボウ・パブリック・マーケットのなかにカモミ直営のそれはある。
が、ワイナリーが片手間にやっている店と思うと大間違い、AVPN認定のピッツェリアなのである。AVPNとはAssosciazione Verace Pizza Napoletana(真のナポリ・ピッツァ協会)の略称で、イタリア本国を始め世界各国で正真正銘のナポリ・ピッツアを提供する店の認証をおこなっている組織。現在、世界で認定されているのは本国イタリアを含めても500を切る店舗だけで、アメリカでは76の店しか認められていない。ちなみに日本ではアメリカに次ぐ54の店が認定されている。オーナーがイタリア人であれば当然とはいえ、ピッツァは本当においしく、ミシュランのお薦めレストランとなっているのも納得。
食材はイタリアからの取り寄せ以外は、地元カリフォルニアのものが中心で、それもオーガニックにこだわり提供。そして、ワインはカモミの泡に赤、白が揃っていて、ボトルだけでなく、バイ ザ グラスでもスタンバイ。ロゼ・スパークリング(名前はカ・ローザ)はピノ・ノワールにシャルドネなど数品種からつくられる、11.5パーセントとアルコールも低めなタイプなので、どのイタリアンの皿にもよく合い、なかでもお店ご自慢のピッツァやパスタ、特にモッツァレラが入ったシチリア名物のライス・コロッケ、アランチーニとはベストなマリアージュ。
セバスチャーニ・ヴィンヤーズ・アンド・ワイナリー (Sebastiani Vineyards and Winery) Sonoma
老舗ワイナリーで体験するロゼと一口料理のマリアージュ
前世紀の初頭、イタリアからの移民、初代サミュエルがソノマにワイナリーを創設、以来100年以上にわたってワインを生み続けてきたセバスチャーニ。ロシアン・リヴァー・ヴァレーやドライ・クリーク・ヴァレー、カーネロスなどに畑を所有し、カベルネ・ソーヴィニョンもあるもののピノ・ノワールやジンファンデル、それに珍しいルサンヌ種100パーセントや、ソーヴィニョン・グリ種主体の白などを生んでいて、ソノマというよりカリフォルニアを代表するワイナリーのひとつ。
このセバスチャーニやモンダヴィなど大手のワイナリーになると、専属のシェフを擁し、ワインとのフード・ペアリングのメニューを用意している。セバスチャーニの場合、事前に予約をすればランチの時間帯にワイン&フード・ペアリングのコースが用意される。季節によって変わるものの、今回シェフのカルロ・カバーニが用意した一口サイズのメニューは、右から、ローストしたゴールデン・ビーツにゴート・チーズ、パルマ産生ハム添え、ポレンタにエスカルゴ、上にブリー・チーズを乗せポワレした熱々の一品、シイタケと黒トリュフのリゾット、パルミジャーノ乗せ、バーベキューした薄切りポークと野菜をバンズで挟んだミニ・バーガー、ホームメード・チョコのピーカン・ナッツまぶし、というもの。ミソは最後のチョコレート以外には全てチーズが使ってあるということ。ワインとチーズは、古来より最強の友であり、これにより格段に相性はアップする。
ワイン・メーカーのマーク・ライアンによると、シャンパーニュに次いで、どんな料理とも合わせることができるのがセバスチャーニのロゼ。なので、この一口メニューはロゼで通すことも可能。そのロゼだが、以前はピノ・ノワールを用いていたものの、現在はソノマより500キロメートル以上南の冷涼な気候で知られるサンタ・バーバラのサンタ・イネズ・ヴァレーからのグルナッシュを主に同じサンタ・バーバラ・カウンティのサンタ・リタ・ヒルズ産グリューナー・ヴェルトリーナー、それに少量のシラーというカリフォルニアでは珍しいぶどうからつくられている。美味だけではない新たな発見が嬉しい、ワイナリーで体験するロゼとランチのマリアージュである。