イタリアワイン・ランキング ガンベロ・ロッソが選んだ
イタリアのベストワイン最新版、2025
(2025.01.01)

また同日、ガンベロロッソの『ヴィーニ・ディタリア』編集長であるマルコ・サベリコ氏、及び、日本語版の翻訳を担当してきたワインジャーナリストの宮嶋勲氏による、特別賞セミナーも開催された。ここでは、セミナーで取り上げられた、2025年版特別表彰ワインを紹介する。

ガンベロ・ロッソの「ヴィーニ・ディ・イタリア」特別賞セミナーで取り上げられたワインを紹介する。ガンベロ・ロッソは、イタリア全土のワインを厳格に格付けして、その評価をグラスの数で示している。その最高評価トレ・ビッキエーリの中から、各ジャンルの最上位が特別表彰を受ける。特別表彰ワインは、現時点のイタリアワインのトップであると同時に、ガンベロ・ロッソのメッセージでもある。いま、ワインはどうあるべきかが、その方向性が示されている。

Sparkling Wine of the Year
OP Pinot Nero M. Cl. Pas Dosé Poggio dei Duca ’19 – Calatroni
スパークリングワインの最高賞は、近年売り出し中のワインエリア、オルトレポ・パヴェーゼ地区から選ばれた。オルトレポ・パヴェーゼはイタリアの中でもピノ・ノワールの優良な産地とされ、いまやシャンパーニュ、ブルゴーニュに次ぐ、第3位の座をオレゴンと争っている。長時間のスキンコンタクトを経て、繊細さと風味の緊張感を備えたメトード・クラシコによるスパークリングワインである。赤い果実、バルサムの香り、塩味とミネラル感が特徴的。標高 550 メートルの石灰質の単一区画から採れるピノ・ノワールだ。
Rosé of the Year
RGC Valtènesi Chiaretto Antitesi ’23 – Avanzi
ロゼワイン・オブ・ザ・イヤー。繊細で控えめな印象の「アンティテージ」は、イタリアのロゼワインのスタイルとイメージに革命を起こしたイタリアワイン醸造の新潮流のひとつと言える。ロゼの革命はガルダ湖畔のヴァルテーネージ地区で始まった。そこで、アヴァンツィはグロッペッロ種のブドウからこの素晴らしいキアレットを生産している。飲みやすく、上質なフルーティな香りとシャープでミネラル感のある味わい。近年、ロゼワインが見直されているが、イタリアでも新しいスタイルのロゼワインが台頭している。ガンベロロッソが、ロゼ・オブ・ザ・イヤーの選定を始めたのもそのためだ。
Emerging Winery
Maugeri
Etna Bianco Sup Contrada Volpare 23
新興の注目ワイナリー。エトナ地区は、新しいワインとワイナリーを次々と生み出している。レナート・マウジェリとその娘カルラ、ミケーラ、パオラのワイナリーは、わずか3回の収穫で、特別なワイン造りから、ホスピタリティシステムまで整備し、重要なワイナリーの1つとしての地位を確立した。今も大きな開発計画が動いているという。
Solidarity Project Award
Lis Neris
Friuli Isonzo Pinot Grigio Gris 22
連帯のプロジェクト・アワード。常に最高品質のワインを生産してきたペコラーリ家のワイナリーは、長年にわたり、ミャンマー、インドのアーンドラ・プラデーシュ州、ウガンダの子どもたちの支援をするフランチェスカ・ペコラーリ ONLUS 財団の支援を行ってきた。今回、その功績が評価された。彼らの貢献により、14 校の学校が建設された。
Sustainable Viticulture Award
Resistenti Nicola Biasi
Vin de la Neu 22
サスティナブルなブドウ作りアワード。ブドウ栽培における「耐性」のある新しいブドウ品種の導入は、幅広い議論を巻き起こしていて、議論はまだまだ終わらない。ニコラ・ビアージは、経験豊富なワイン醸造家であり、新しい品種を使った「レジスタンティ・ニコラ・ビアージ」ブランドで、革新的なワイン造りに取り組んでいる。
Cooperative of the Year
Belisario
Verdicchio di Matelica Cambrugiano Ris 21
協同組合オブ・ザ・イヤー。ガンベロ・ロッソは、マルケ州の協同組合の堅実で高潔な企業活動を評価したいと考えた。50年以上の歴史の中で、ベリサリオは、丁寧に作られた忘れがたいワインを通じて、マテリカ地域のストーリーを語り続けてきた。この成功は、情熱的で有能なチーム、厳格な管理、そしてメンバー全員の協働事業の取り組みの成果である。
White wine of the Year
Alto Adige Sauvignon Gran Lafóa Ris. ’21 – Colterenzio
白ワイン・オブ・ザ・イヤー。コルテレンツィオはすでに評価の定まった協同組合だが、これ以上の伸び代はないと考えていた人も多いのではないか。だが、それは間違っている。さらに、飛躍できるポテンシャルを持っている。「グラン・ラフォア」は、1980年代にこのワイナリーと、それ以降のクオリティの革新のきっかけとなった畑から生まれたワイン。標高450メートルの畑の最上の区画から厳選されたワインは、今なお力強く、濃厚な風味と並外れたエレガントさを兼ね備えた白ワインである。
Best Value for Money
Cantina Settecani
Lambrusco di Grasparossa di Castelvetro 7Bio – Settecani
コストパフォーマンス賞。この賞は、安くておいしいワインに贈られるものだが、どこよりも模範的なポリシーで活動する協同組合に贈られることとなった。組合員と経営陣の献身的な努力により、原産地の特色を完璧に表現した本物のワインを、本当に手頃な価格で生産している。
Red wine of the Year
Chianti Colli Fiorentini Molino degli Innocenti Ris. ’19 – Torre a Cona
赤ワインの最高峰は、常に競争が激しく、難しい選択となるが、このワインを選んだのは、クラシックとモダンの両方を兼ね備えた素晴らしい赤ワインのパラダイムを完璧に体現しているからだ。歴史あるテロワールと土着のブドウから造られた、深み、繊細さ、エレガンスが特徴の、構造がありながらも押しつけがましくないワインである。
Winemaker of the Year
Mario Fontana Cascina Fontana
Barolo del Comune di Castiglione Falletto 19
ワインメーカー・オブ・ザ・イヤー。長いワイン醸造の伝統を受け継ぐマリオ・フォンタナは、自らファミリーのブドウ園の世話を続けている。彼はそこで育ち、子供の頃に祖父の指導の下でワイン造りを学んだ。カスティリオーネ・ファレットのヴィレロ・ブドウ園を通りかかるならば、今日も、剪定ばさみを手にした彼の姿が目に留まるはずだ。
Winery of the Year
San Leonardo
San Leonardo 19
ワイナリー・オブ・ザ・イヤー。300年以上にわたり、ゲリエリ・ゴンザーガ家がこの素晴らしいワイナリーの管理者を務めてきた。ワイン醸造家カルロと、現在は息子のアンセルモの情熱と献身のおかげで、このワイナリーのワインは世界的に高い評価を得てきた。しかし、「サン・レオナルド」は、ワインの名声以上の存在である。この地域やその周辺のすべてのワインメーカーにインスピレーションを与え続けている。
Meditation Wine of the Year
Moscato Passito al Governo di Saracena ’15 – Feudo dei Sanseverino
瞑想のワイン・オブ・ザ・イヤー。おそらく、デザートワインの最高峰に与えられる賞であろう。カラブリア、特にサラチェーナは、いつもガンベロ・ロッソを感動させるという。ビスコンテ兄弟は、またしても小さな傑作を造り上げた。モスカート’15 は、驚くほど奥深く複雑で、ゆっくりとその千のニュアンスを発見できる真の瞑想ワイン。