ワイン・ムービー ブルゴーニュのワイン造りがわかる。
『ソウル・オブ・ワイン』
(2022.11.01)

数年ごとに登場するワイン映画。今回はブルゴーニュのワイン造りのドキュメンタリーだ。ロマネ・コンティ、シャンボール・ミュジニー、ムルソー、ヴォルネイの有名生産者が登場し、彼らのワイン造りを映像で語る。また、醸造学者や有名ソムリエによって、テロワールとビオディナミ、ワインの味わいが語られる。ブルゴーニュワインのキーワードを、ひと通り映像化した作品。映画ファンにはほとんど意味がないと思うが、ワインファンには一眺の価値がある映画であろう。
グランヴァン、それは大地と空と人との出会いから生まれる。
いかにも映画的なキャッチフレーズだが、ブルゴーニュのワイン造りを詩的な映像で見せるというのがこの映画のコンセプト。ワインファンには、その中から、いかにもいまどきのワイン造りの場面を発見してほしい。農薬や除草剤を使わず、ビオディナミ農法で行うワイン造りを特に強調している。彼らは、土地の所有者ではなく、次世代へとその偉大な遺産を受け継ぐ番人であるという。描かれるワイン造りのシーンも、冬から春、収穫から醸造へと、ワイン造りの一年を追いかけている。百年変わらない、伝統的なワイン造りがここにある、と言いたいのだろう。
クリストフ・ルーミエとドミニク・ラフォンが、「シャンボール・ミュジニー・ルミエ・クリュ・レ・ザムルーズ」を試飲。ルーミエの「レ・ザムルーズ」はもはや幻のワイン
馬で土を鋤く。ビオディナミの象徴的シーンだ
ジャック・ビュイゼ、醸造学者。「ワインは土地と空気、成分と時間を飲むことだ」
オリヴィエ・ブシエ、世界最優秀ソムリエ。アルマン・ルソーの「ジュブレ・シャンベルタン」を試飲。「ピノ・ノワールのアロマの基本はチェリーやベリーなど赤い果実。だが、面白いのは”種”を感じることだ」
樽作りもワインのひとつのシーン。ロングトーストが特徴のシャサン社の樽作り。アリエ産バリック。焦がし工程が見られる
カロリーヌ・フェルストス、2014年ソムリエ・オブ・ザ・イヤー。「偉大なムルソーは、初めにバターのような香りがする」
ブドウの収穫。多くの人が集まり一気に収穫し、その日のうちに醸造に回される
DRCの選果場。余分な茎や未成熟な粒をより分ける
ロマネ・コンティの貯蔵庫
オベール・ド・ヴィレーヌ、DRCの共同経営者。今年退任。「土地を所有している感覚はない。祖先の土地を守る番人であり、我々の役目はその遺産を大切にいじすること。そして次の世代へ繋いでいくことだ」
『ソウル・オブ・ワイン』
2022年11月4日(金)、ヒューマントラストシネマ有楽町 アップリンク吉祥寺他、全国順次ロードショー
監督:マリー=アンジュ・ゴルバネフスキー
撮影:フィリップ・ブレロー
登場:ベルナール・ノブレ(DRC元醸造責任者)、クリストフ・ルーミエ(ドメーヌ・ジョルジュ・ルーミエ)、
ドミニク・ラフォン (ドメーヌ・コント・ラフォン)、オリヴィエ・ブシエ(世界最優秀ソムリエ)、
フレデリック・ラファルジュ(ミシェル・ラファルジュ)、カロリーヌ・フュルストス(ソムリエール)他
配給:ミモザフィルムズ
原題:L’aime du vin
2019年 / フランス / フランス語 / 102分
© 2019-SCHUCHI Production-Joparige Films-127 Wall