日本ワイン・塩尻特集 vol.5 塩尻がワインの聖地である理由。
塩尻ワイン大学という取り組み。
(5時間)

塩尻ワインの紹介をしてきたが、塩尻が長野ワイン、ひいては日本ワインの隆盛を支えているのは間違いないだろう。なぜ、塩尻なのか。ここであらためて、塩尻ワイン大学の紹介をしてみたい。
塩尻ワイン大学とは?
さて、そのワイン大学、私も4期生として通っているが、実に中身の濃いカリキュラムが組まれている。4期は、毎月2日、3年間のカリキュラムが組まれ、大学の醸造学科レベルの栽培と醸造の講義と実習が行われている。ソムリエスクールのような趣味の講座ではない。実際に畑を拓き、日々、剪定や防除に明け暮れる真の農業者のための実践的な授業である。フランス国家認定醸造士の榎本登貴男さんに、理論のみならず、技術や判断を現場で教わっている。また、醸造の授業では、成分分析や薬剤の使用に化学式の計算を使って格闘する。そんな、本気の教育プログラムである。
ここまで紹介してきた塩尻ワインには、ワイン大学1期生が立ち上げたワイナリーが、数多く登場した。いにしぇの里葡萄園、丘の上幸西ワイナリー、ベリービーズ、霧訪山シードル、塩尻に隣接する辰野町のKIRINOKA、松本市のハセドコダワールにガクファーム。現在委託醸造でワインを造り、ワイナリー開業を目指しているのが、111ヴィンヤードとyosieヴィンヤード。
2期生にも、本格的なワイン販売に至ってないが、ワイナリー設立に漕ぎ着けた人たちがいる。たのめワイナリーとカーブ桔梗。さらに自然派ワインを委託醸造でスタートした、レ・ヴァン・デブルィヤールである。他にも、栽培農家としてワイン産業に取り組む者たちがいる。塩尻の新しいワイナリーの大半は塩尻ワイン大学の卒業生である。
私が通う4期にも本気の人たちが集まっている。ハセドコダワールと、オレイユ・ド・シャ・ビーナスライン醸造場からはオーナーの家族が参加しているし、飛騨高山に新たにワイナリーを立ち上げる担当者や、片丘でブドウ栽培を始めた人、桔梗ヶ原のブドウ栽培農家の後継者もいる。現実的なことを言うと、1期生の頃と比べると、費用面でワイナリー立ち上げの実現は難しくなっているが、まず、ブドウ栽培から始めて、委託醸造などで自前のワインを造るのは、不可能ではない。ワイン大学はそのためのネットワークも入手できるし、行政は農地の斡旋や移住の実現に手を貸してくれる。この手厚いプロジェクトが、塩尻をワインの聖地に向かわせているのだ。
